宇宙ニュース要約: 2025年11月21日

connectsci.au

月を形成した巨大衝突体「Theia」は内側太陽系由来とする新説

月と地球の化学組成が酷似している謎について、月を形成したとされる原始惑星「Theia」が、地球よりも太陽に近い内側太陽系で形成されたとする新たな研究結果が発表されました。研究チームは、月、地球、隕石の岩石に含まれる鉄、クロム、モリブデンなどの同位体を高精度で分析。その結果、Theiaは地球と同様の物質から形成された可能性が高いと結論付けました。これは、地球と月の化学的類似性を説明する有力な手がかりとなります。

innospacecorp

INNOSPACEのHANBIT-Nano、打ち上げを12月17日に延期

韓国の宇宙スタートアップINNOSPACEは、同社初の軌道打ち上げロケット「HANBIT-Nano」の打ち上げを、ブラジル・アルカンタラ宇宙センターでの信号処理システムの検証のため、2025年12月17日（ブラジル時間）に延期すると発表しました。ウェットドレスリハーサルは成功裏に完了しており、安全性を確保した上で打ち上げに臨むとしています。

www.nikkei.com

IIJ、スターリンクを利用した建設機械の遠隔操作実証実験に成功

IIJは、SpaceXの衛星通信サービス「スターリンク」を活用し、建設機械の遠隔操作に関する実証実験を都内で実施しました。スターリンクの低遅延・広帯域通信により、通信環境が不十分な場所でも高画質な映像を伝送し、円滑な遠隔操作が可能になることを確認しました。建設業界の人手不足解消や生産性向上への貢献が期待され、2026年度の商用化を目指しています。

www.nasaspaceflight.com

中国の宇宙開発動向：神舟22号打ち上げ準備と嫦娥計画の進展

中国は、神舟20号宇宙船の損傷を受け、代替として無人の神舟22号を11月25日に打ち上げる準備を進めています。また、月探査計画では、嫦娥6号が持ち帰った月のサンプルから酸化鉄が検出されたほか、嫦娥7号が2026年中頃に月の水氷探査を行う予定です。宇宙ステーション「天宮」には2026年に初の国際宇宙飛行士が訪問する見込みです。

nasa.gov

NASA、Artemis IIミッションの準備が進行 オリオン宇宙船をSLSに統合

NASAは、有人月周回ミッション「Artemis II」の準備を着々と進めており、ケネディ宇宙センターのVAB（車両組立棟）でオリオン宇宙船をSLS（スペース・ローンチ・システム）ロケットの上に搭載する統合を完了しました。今後は通信システムなどを含む全体の結合試験を経て、4人の宇宙飛行士が参加する打ち上げカウントダウンのリハーサルなどが行われます。ミッションは2026年初頭に予定されています。

nasa.gov

アルテミス合意、ハンガリー・マレーシア・フィリピンの加盟で59カ国に拡大

宇宙探査の国際協力原則を定める「アルテミス合意」に、新たにハンガリー、マレーシア、フィリピンが署名し、参加国は合計59カ国となりました。合意発効5周年を迎え、参加国は宇宙ゴミ対策やデータ共有などについて協議を進めており、NASAは2026年にデータ共有に関するワークショップを開催する予定です。

www.esa.int

ESA、地球近傍小惑星の発見数が4万個を突破

欧州宇宙機関（ESA）は、地球に接近する軌道を持つ小惑星（NEA）の発見数が2025年11月に4万個を超えたと発表しました。近年の観測技術の向上により発見数は急増しており、ESAはこれらの天体の軌道を監視し、衝突リスクを評価しています。現在のところ、今後100年以内に大きな脅威となる天体は見つかっていませんが、監視と防御技術の開発が続けられています。

www.globenewswire.com

Rocket Lab、Electronロケットで年間最多18回目の打ち上げに成功

Rocket Labは、Electronロケットの打ち上げを2025年に18回実施し、年間最多記録を更新しました。直近では、ニュージーランドから機密商業衛星を打ち上げる「Follow My Speed」ミッションと、米国ワロップスからの弾道飛行ミッション「HASTE」を48時間以内に連続で成功させ、100%の成功率を維持しています。同社は、小型軌道打ち上げ機として世界で最も高い打ち上げ頻度を達成しています。

www.satellitetoday.com

Amazon、衛星通信サービス「Amazon Leo」を年末に一部企業向けに提供開始

Amazonは、同社の低軌道衛星コンステレーションの名称を「プロジェクト・カイパー」から「Amazon Leo」に改め、2025年末から一部の企業顧客向けにサービスを提供開始すると発表しました。物流、エネルギー、農業などの分野の企業が初期顧客となり、遠隔地でのデータ通信やリアルタイム監視などに活用される予定です。本格的な一般展開は2026年を目指しています。

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中国、長征3Bロケットで通信技術試験衛星21号を打ち上げ

中国は2025年11月21日、西昌衛星発射センターから長征3B（Long March-3B）ロケットを打ち上げ、通信技術試験衛星21号（TJSW-21）を予定の軌道に投入することに成功しました。公式発表によると、この衛星は主に衛星通信、放送、データ伝送、および関連技術の試験に使用されるとのことです。

nasa.gov

NASAの静音超音速機X-59が初飛行に成功

NASAの静音超音速研究機「X-59」が2025年10月28日に初飛行に成功しました。カリフォルニア州パームデールのロッキード・マーティン社スカンクワークス施設（Plant 42）を離陸し、67分間の飛行の後、NASAアームストロング飛行研究センターに着陸しました。この初飛行では高度約12,000フィート、最高速度約230mphに達し、着陸装置は降ろしたまま飛行しました。今後は高高度・超音速での試験を重ね、地上へのソニックブームを低減する技術の実証を目指します。

aviationweek.com

Blue Origin、New Glennの性能向上と超大型版「9x4」計画を発表

Blue Originは、大型ロケット「New Glenn」の性能向上計画を発表しました。第2回打ち上げで第1段ブースターの回収に成功したことを受け、第3号機（NG-3）から段階的に改良を導入します。具体的には、第1段BE-4エンジンの総推力を約15%増の4.5M lbfへ、第2段BE-3Uエンジンを約25%増の400k lbfへ強化するほか、再利用可能なフェアリングや低コスト燃料タンク、高性能な熱防護システム（TPS）も導入し、打ち上げ頻度と信頼性の向上を目指します。さらに、第1段にBE-4を9基、第2段にBE-3Uを4基搭載する超大型版「New Glenn 9x4」も計画しており、LEOへ70トン超の輸送能力でメガコンステレーションや月・深宇宙探査に対応します。

China 'N Asia Spaceflight 🚀𝕏 🛰️

FSTSPACE、9基のメタロックスエンジン搭載ロケットを2025年9月打ち上げ目標に開発

中国の新たな宇宙企業FSTSPACEが、9基の175トン推力メタロックスエンジンを搭載した液体燃料ロケットを開発しており、2025年9月の初打ち上げを目指していることが明らかになりました。同社は設立から間もないものの、サブスケール推力室のホットファイア試験を実施するなど、開発を急ピッチで進めている模様です。

ispace_HAKUTO-R

ispace、月面経済圏構築に向け国連会合などで国際連携を強化

月面探査企業ispaceは、国連宇宙部（UNOOSA）主催の会合やインドでの国際宇宙会議に参加し、持続可能な月経済圏における民間企業の重要性を訴えました。また、米国のOpen Lunar Foundationと月面活動データのオープン化を目指す「Lunar Ledger」プロジェクトで覚書を締結するなど、国際協調のもとで安全かつ持続可能な月面開発の実現に向けた取り組みを強化しています。

uchubiz.com

JAXA、2050年代に月面1000人滞在を目指す国際宇宙探査シナリオ案を公開

JAXAは「日本の国際宇宙探査シナリオ案2025」を公開し、2040年代に月面で約40人の常時滞在を実現し、2050年代には1000人規模の活動を目指す長期的な計画を示しました。2030年代から居住施設などのインフラ整備を本格化させ、大型着陸船の定常的な運用や与圧ローバーによる広範囲な探査活動を想定しています。

space.com

SpaceX、ライドシェアミッション「Transporter-15」で100機超の衛星を打ち上げ

SpaceXは、多数の小型衛星を相乗りで打ち上げるライドシェアミッション「Transporter-15」を、ヴァンデンバーグ宇宙軍基地からFalcon 9ロケットで打ち上げました。ESAや台湾、Planet Labsなど、世界中の顧客から預かった100機以上の多様な衛星が太陽同期軌道に投入されました。使用された第1段ブースターは30回目の飛行となりました。

JAXA（宇宙航空研究開発機構）

JAXA、大西卓哉宇宙飛行士のミッション報告会の動画を公開

JAXAは、11月14日に開催された大西卓哉宇宙飛行士のミッション報告会の模様をYouTubeで公開しました。報告会には油井亀美也宇宙飛行士も登壇し、会場は熱気に包まれたとのことです。動画では、ミッション中の活動や経験について詳しく語られています。

www.esa.int

ESAと中国の共同ミッションSmile、2026年4月に打ち上げへ

欧州宇宙機関（ESA）と中国科学院（CAS）の共同科学ミッション「Smile」が、最終的な審査を通過し、2026年4月8日から5月7日の間に打ち上げられることが決定しました。Smileは、太陽風と地球の磁気圏の相互作用を広範囲にわたって観測する初のミッションで、Vega-Cロケットで仏領ギアナから打ち上げられる予定です。

European Space Agency

ESA、欧州の自律的な宇宙アクセス能力確保を戦略目標に

欧州宇宙機関（ESA）は、将来戦略「Strategy 2040」の中核目標の一つとして、欧州の安全保障と福祉のために、自律的で回復力のある宇宙へのアクセス能力を確保することの重要性を強調しています。これにより、必要な時にいつでも衛星を打ち上げ、宇宙からのデータを取得できる体制を構築することを目指します。

www.sciencenews.org

ISS船外でコケの胞子が9か月生存、惑星緑化に期待

国際宇宙ステーション（ISS）の船外に9か月（283日間）曝露されたコケ（Physcomitrium patens）の乾燥胞子が、地球帰還後に80%以上生存し、そのうち約90%が発芽可能であったことが研究で明らかになりました。胞子は胞子嚢や外被構造によって、紫外線や放射線、極端な温度変化といった過酷な宇宙環境から保護されたと考えられています。この成果は、将来の月や火星での食料生産、酸素生成、土壌形成など、惑星緑化や生命維持システムへの応用可能性を示すものです。

fireflyspace.com

Firefly Aerospace、極超音速試験チーム「MACH-TB 2.0」に参画

Firefly Aerospaceは、Kratos Defenseが主導する極超音速滑空体の飛行試験プロジェクト「MACH-TB 2.0」チームに参画すると発表しました。Fireflyは同社の「Alpha」ロケットを用いて、迅速かつ柔軟な打ち上げ能力を提供し、米国の極超音速技術開発における試験頻度の向上とコスト削減に貢献します。

aviationweek.com

米宇宙軍、将来構想「Objective Force」を2026年初頭に公表へ

米宇宙軍は、今後15年間に必要となる能力、部隊規模、組織構成の青写真となる「Objective Force」の策定を最終段階で進めています。この構想は、装備の導入計画から人員、基地インフラまでを含み、予算編成や産業界への需要を示す基礎となります。年次で更新され、5年ごとに改訂される計画で、最初の文書は2026年初頭に公表される見込みです。

SpaceX

SpaceXのSuper Heavyブースター18が地上試験中に爆発

SpaceXが開発中の超大型ロケット「Starship」の第1段ブースター「Super Heavy」のプロトタイプ18号機が、2025年11月21日にテキサス州の試験場で地上試験中に爆発し、大きな損傷を負いました。この機体は、構造強度などを検証するための最初のV3バージョンでした。この事故が今後の開発スケジュールに与える影響が注目されます。

news.mynavi.jp

デブリ対策装置D-SAIL、日鉄ケミカル＆マテリアルの高耐久ポリイミド膜を採用

サカセ・アドテック、日鉄ケミカル＆マテリアル、アクセルスペースの3社は、衛星を軌道から離脱させるための膜面展開型デオービット機構（D-SAIL）に、日鉄ケミカル＆マテリアルが開発した原子状酸素（AO）への耐性が高いポリイミド膜「BSF-30」を採用すると発表しました。これにより装置の耐久性が向上し、スペースデブリ問題の解決に貢献することが期待されます。

whnt.com

Space Command司令部、アラバマ州ハンツビルへの移転が進展

米宇宙コマンド（U.S. Space Command）司令部のコロラド州からアラバマ州ハンツビルへの移転計画が進む中、司令官のスティーブン・ホワイティング将軍が12月10日に現地で開催されるイベントで基調講演を行う予定です。移転には5〜7年かかると見込まれ、完了すれば約1400〜1700の直接雇用と約3000の関連雇用が創出されると期待されています。

nasa.gov

ソユーズMS-28、NASA飛行士ら3名を乗せ11月27日にISSへ打ち上げ予定

NASAのクリス・ウィリアムズ宇宙飛行士とロスコスモスの宇宙飛行士2名が搭乗するソユーズMS-28宇宙船が、11月27日にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられる予定です。3名は国際宇宙ステーション（ISS）の第73次／第74次長期滞在クルーとして約8か月間滞在し、科学実験などを行います。打ち上げの様子はNASAの各種プラットフォームで生中継されます。

spaceflightnow.com

SpaceX、フロリダから年間100回目の打ち上げを達成 (Starlink 6-78)

SpaceXは2025年11月20日、ケネディ宇宙センターからFalcon 9ロケットで29機のStarlink衛星を打ち上げ、フロリダのスペースコーストからの年間軌道打ち上げ回数が史上初めて100回に到達しました。このStarlink 6-78ミッションで使用された第1段ブースターは23回目の飛行となり、打ち上げ後に大西洋上のドローンシップへの着陸に成功しました。年間打ち上げ回数の急増は、再利用技術の確立によるもので、今後もさらなる増加が見込まれています。

en.nagoya-u.ac.jp

JAXA/名大、衛星「あらせ」で大規模磁気嵐によるプラズマ圏の急激な圧縮を観測

名古屋大学とJAXAの研究チームは、科学衛星「あらせ」の観測データから、2024年5月に発生した大規模な磁気嵐によって、地球のプラズマ圏が通常の5分の1のサイズまで急激に圧縮されたことを初めて直接観測しました。この現象は衛星の障害やGPSの誤差、通信障害の原因となるため、宇宙天気予報の精度向上と宇宙インフラ保護の重要性を示しています。

space.com

JWST、初期宇宙で銀河より速く成長する超巨大ブラックホールを発見

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡（JWST）が、ビッグバンから約5.7億年後の初期宇宙に存在する銀河の中心で、太陽の約1億倍の質量を持つ超巨大ブラックホールを発見しました。このブラックホールは、母銀河の星々の総質量に比べて不釣り合いに大きく、初期宇宙ではブラックホールが銀河よりも速く成長した可能性を示唆しており、従来の理論に挑戦する発見です。

spacenews.com

商業宇宙ステーション「Starlab」、Janus Hendersonから出資を獲得

Voyager Spaceが主導する商業宇宙ステーション計画「Starlab」に、大手資産運用会社のJanus Hendersonが出資したことが発表されました。Starlabにはエアバスや三菱重工なども参画しており、2024年12月に詳細設計審査（CDR）を開始する予定です。ISS退役後の低軌道活動の受け皿として、バイオ医薬品研究や微小重力下での製造拠点を目指しています。