Firefly Aerospaceの小型ロケット「Alpha」の第1段が、テキサス州の試験施設での地上試験中に爆発し、機体を喪失しました。この事故による負傷者はおらず、安全手順は遵守されていました。同社は試験台への影響を評価中であり、今秋に予定されていたLockheed Martin向けの打ち上げ(Flight 7)への影響は現時点で不明です。Alphaロケットは過去の打ち上げでも成功と失敗を繰り返しており、今回の事故は同社の課題を浮き彫りにしました。
SpaceXは、テキサス州のスターベースからStarshipの11回目の飛行試験を10月13日に実施する計画です。現行のVersion2としては最後の飛行となり、8基の模擬Starlink衛星の放出、宇宙空間でのラプターエンジンの再点火、耐熱タイルを一部取り外した状態での耐久性試験などが行われます。再利用されたSuper Heavyブースターは、降下中に段階的なエンジン噴射を行い、海上への着水試験を実施します。これらの試験結果は、次世代機Version3の開発に反映される予定です。
NASAの火星探査車パーサヴィアランスが、ジェゼロクレーターの「Cheyava Falls」と呼ばれる場所で、古代の生命の痕跡である可能性を示す証拠を発見しました。検出されたのは、堆積岩中の斑点状の痕跡や、ヘマタイト由来とみられる鉄化合物、そして有機物です。これらは微生物の活動によって形成された可能性が指摘されていますが、最終的な結論を出すには、将来のサンプルリターンミッションで試料を地球に持ち帰り、詳細な分析を行う必要があります。
日本のSAR衛星コンステレーションを構築するSynspectiveは、Rocket LabとElectronロケットによる10回の専用打ち上げを追加契約しました。これにより、両社間の契約は合計21ミッションに拡大します。この契約は、Synspectiveが目指す2020年代後半までの30機体制のコンステレーション構築を加速させるものです。打ち上げはニュージーランドの射場から行われる予定です。
モルディブは、国際宇宙会議(IAC2025)において、自国の宇宙開発能力を強化するため、5,000万ドル規模の「モルディブ宇宙基金(MSF)」を設立すると発表しました。この基金はUAEを拠点とし、地上局の整備や海洋監視用衛星の開発といったインフラ構築、アプリケーション開発、先端技術研究に資金を配分します。国連宇宙部(UNOOSA)やインド宇宙研究機関(ISRO)などと連携し、宇宙分野での発展を目指します。
スマートフォンと衛星の直接通信を目指すAST SpaceMobileは、同社の衛星「BlueBird 6」の最終組み立てと試験を完了しました。この衛星は10月12日にインド宇宙研究機関(ISRO)に引き渡され、大型輸送機でインドへ空輸される予定です。打ち上げは、インドのLVM3ロケットを用いて12月から1月にかけて行われる計画です。
衛星画像大手のMaxar Technologiesは、2023年のプライベートエクイティ会社Advent Internationalによる買収・分割を受け、社名を変更しました。衛星画像の分析とインテリジェンス事業は「Vantor」に、衛星製造事業は「Lanteris」として、それぞれ独立したブランドで事業を展開します。Vantorはデータ分析とAI活用を強化し、Lanterisは防衛・政府向けの衛星製造に注力します。
宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の性質を精密に観測し、ビッグバン理論の強力な証拠を示したことで2006年にノーベル物理学賞を受賞した宇宙物理学者ジョージ・スムート氏が80歳で亡くなりました。彼はNASAのCOBE衛星プロジェクトを主導し、宇宙の初期にごくわずかな温度の「ゆらぎ」が存在することを初めて発見しました。この発見は、その後の宇宙論研究の基礎を築きました。
中国国家航天局(CNSA)は、小惑星探査機「天問2号」が深宇宙で撮影した自身の画像を公開しました。ロボットアームを使って撮影された画像には、探査機本体やサンプルを地球に持ち帰るための帰還カプセル、そして背景に青く輝く地球が鮮明に写っています。この画像は、中国の深宇宙探査技術の進歩を示すものとして注目されています。
2025年10月は、様々な天文イベントが楽しめます。4日には世界中で月を観測する「国際観月ナイト」が開催されます。6日には月が地球に最も近づく「スーパームーン」となり、通常より大きく明るい月が見られます。また、8日頃にピークを迎えるドラコニッド流星群や、21日頃にピークを迎えるオリオン座流星群も観測のチャンスです。特にオリオン座流星群は月明かりの影響が少なく、好条件での観測が期待できます。
元宇宙飛行士のマーク・ケリー氏を含む米上院議員らが、現在ワシントンD.C.近郊のスミソニアン航空宇宙博物館別館に展示されているスペースシャトル「ディスカバリー」を同所に留め置くよう求めています。移転計画には巨額の費用と機体損傷のリスクが伴うこと、また移転先では入場料が必要となり一般公開が制限されることなどを理由に挙げており、歳出法案で移転資金を阻止するよう要請しています。
中国は2025年末に向けて、有人月面着陸計画に不可欠な新型ロケットや宇宙船の重要な試験を計画しています。次世代の有人ロケット「長征10号」はすでにエンジンの静的燃焼試験を完了しており、年内にはさらなる試験が予定されています。また、新型有人宇宙船「孟舟」の飛行中脱出試験も計画されており、商用ロケット分野でも複数の新型機が初飛行を控えるなど、開発競争が激化しています。
SpaceXがEchoStarの周波数帯(スペクトル)を170億ドルで買収したことにより、スマートフォンと衛星を直接つなぐD2D(Direct-to-Device)通信市場の再編が加速しています。この買収によりEchoStarのLEO衛星計画は中止となり、SpaceXはD2Dサービスで優位な立場を確保しました。市場は2030年には月間約3億ユーザー、数十億ドル規模に成長すると予測されており、他社との競争が激化する見込みです。
NASAは、これまで別々に管理されていた宇宙生物科学と物理科学のオープンデータリポジトリ(OSDRとPSI)を、科学ミッション局(SMD)の新しい単一ウェブページに統合しました。この統合により、研究者は両分野のデータに一元的にアクセスできるようになり、サイトデザインの改善と合わせて利便性が向上しました。NASAはこれにより、分野横断的な研究やオープンサイエンスを促進することを目指しています。
NASAは、4人の宇宙飛行士を乗せて月を周回する「アルテミスII」ミッションの打ち上げを、早ければ2026年2月5日以降に実施する可能性があると示しました。このミッションでは、オリオン宇宙船の生命維持システムや推進系の試験が行われます。一方で、オリオン宇宙船のヒートシールドに関する懸念から、大気圏再突入時の軌道プロファイルを変更するなど、乗組員の安全を確保するための見直しが進められています。
米政府機関の一部閉鎖により、NASAでは職員18,218人のうち15,094人が一時帰休となり、多くの科学研究や公的活動が停止しています。国際宇宙ステーション(ISS)の運用や公共の安全に関わるミッションは継続されますが、予算削減案に対しては内部告発者から安全性が損なわれるとの強い懸念が示されています。上院の報告書では、予算削減が強行されれば「数年内に宇宙飛行士が死亡する」可能性も指摘されており、NASAの将来に暗い影を落としています。
日本の宇宙スタートアップispaceは、国際宇宙会議(IAC2025)において、月探査に関する複数の国際協力を発表しました。韓国のUnmanned Exploration Laboratory(UEL)とは、2027年以降のミッションで韓国初の月面探査ローバーを輸送する契約を締結。また、イタリアのTelespazioとは、月周回衛星コンステレーションの構築に向けた協力に関する意向表明書(LOI)を締結し、月での通信・航法サービスの事業化を検討します。
Blue Originはルクセンブルク宇宙機関と協力し、月の資源探査を行う「Project Oasis」を開始しました。最初のミッション「Oasis-1」では、探査機を月の超低軌道に投入し、水氷やヘリウム3、貴金属などの資源分布を高解像度でマッピングします。将来的には、これらの現地資源を利用して推進剤や太陽電池パネルを製造し、月を深宇宙探査の補給拠点とすることで、ミッションコストを大幅に削減することを目指しています。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が、地球から約625光年離れた若い巨大ガス惑星「CT Cha b」の周囲に、衛星が形成される現場である円盤(周惑星円盤)を直接観測し、その化学組成を初めて明らかにしました。円盤からはアセチレンやベンゼンなど炭素を豊富に含む化合物が検出され、衛星を形成するための材料が揃っていることが示されました。この発見は、惑星や衛星がどのように形成されるかを理解する上で重要な手がかりとなります。
宇宙空間での医薬品製造などを目指す米国のスタートアップVarda Spaceは、オーストラリアの射場運営会社Southern Launchとの協定を延長し、2028年まで最大20回の製造カプセルの着水を南オーストラリア州で実施できることになりました。米国での許認可プロセスの複雑さからオーストラリアを主要な着水地点としており、今回の協定延長により、ミッションの頻度を高める計画を安定的に進めることが可能になります。
シドニーで開催された国際宇宙会議(IAC2025)では、宇宙分野における国際協力の進展を示す多くの発表がありました。米国とオーストラリアは航空・宇宙協力の枠組み協定に署名し、英国とオーストラリアは「Space Bridge」枠組みを再締結しました。また、ESAは韓国航空宇宙庁(KASA)と協力覚書を締結。アルテミス協定の署名国は56か国に達し、実装に向けた協議が行われるなど、世界的な連携が加速しています。
東京大学は、月や小惑星の資源探査・利用に関する研究を推進するため、「宇宙資源連携研究機構(CSRI)」を設立しました。この新組織では、資源利用技術の開発、関連する法制度の設計、模擬資源の製作など、多岐にわたる研究を行います。国内外の大学やJAXA、民間企業と連携し、宇宙資源分野での新産業創出と国際的な人材育成を目指します。
Amazonは、衛星ブロードバンドサービス「Project Kuiper」を2026年前半にカナダなどで提供開始する予定です。第1世代として3,236機の衛星コンステレーションを計画していますが、打ち上げの遅延により、規制当局が定める期限までの半数展開は困難な状況で、期間延長の交渉が必要になると見られています。ユーザー端末は3種類が用意され、最大1Gbpsの高速通信を目指しますが、ネットワークの混雑による速度低下も懸念されています。
欧州宇宙機関(ESA)は、イタリアの航空宇宙企業Avioと、再利用可能なロケット上段を開発するための4000万ユーロ規模の契約を締結しました。この2年間の契約では、概念設計と地上・飛行実証機の開発が行われます。公開されたコンセプト画像はSpaceXのスターシップに似た外観を持ち、液体メタンと液体酸素を推進剤とするエンジンを搭載する計画です。この取り組みは、欧州におけるロケットの再利用技術を推進し、国際競争力を高めることを目的としています。
米宇宙軍(Space Force)は、L3Harrisが開発した新しい高度追跡・打ち上げ解析システム(ATLAS)を正式に運用システムとして受け入れたと発表しました。ATLASはソフトウェア中心のプラットフォームで、宇宙領域における物体の追跡やロケット打ち上げの分析能力を向上させることを目的としています。試用期間を経て性能と準備状況が評価され、今回の運用受入れに至りました。
ホンダは、開発中の再利用可能な小型ロケット「サステナブルロケット」の実機を、東京で開催される「Japan Mobility Show 2025」で一般公開します。このロケットは、一部を再使用する技術や再生可能燃料の活用を目指しており、今年6月には北海道で離着陸実験に成功しています。展示は、同社の宇宙事業への取り組みをアピールする機会となります。
中国は9月29日、西昌衛星発射センターから長征2Dロケットを打ち上げ、2機の試験衛星「Shiyan-30 01/02」を予定軌道に投入することに成功しました。これらの衛星は、主に地球観測に関する新しい技術を実証するために使用されます。今回の打ち上げは、長征ロケットシリーズにとって598回目、長征2Dロケットとしては100回目の成功となりました。
国際宇宙ステーション(ISS)の滞在クルーは、様々な科学実験や技術実証を行っています。最近では、泡の挙動を調べる材料物理学実験の準備や、軌道上のデブリ(宇宙ごみ)を捕獲するための膨張式バッグ技術「Flytrap」の実証装置の設置などが行われました。これらの活動は、将来の月や火星への深宇宙探査に向けた重要な知見をもたらします。
中国の月探査機「嫦娥6号」が月の裏側にある南極エイトケン盆地から持ち帰ったサンプルを分析した結果、その性質が表側のサンプルとは大きく異なることが明らかになりました。サンプルは約28億年前にマントル由来の溶岩から形成されたと推定され、その結晶化温度は表側より約100℃低いことが判明しました。この温度差は、月の裏側にはウランやトリウムといった発熱元素(KREEP)が少ないためと考えられています。この研究成果は科学誌Nature Geoscienceに掲載されました。
米国の宇宙企業AstroboticとAmerican Hondaは、月面での持続的な電力供給を目指すシステムの共同開発を発表しました。このシステムは、Astroboticの追尾型太陽電池パネルと、ホンダが開発した高圧水電解システムおよび再生型燃料電池を統合したものです。昼間に太陽光で発電した電力で水を電気分解して水素と酸素を貯蔵し、夜間や日陰でそれらを使って発電することで、有人活動やインフラへの安定した電力供給を目指します。